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【藤井莉子選手】選手インタビュー#04 光の方へ

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RED ROCKETS HERO'S TRAJECTORY #04

光の方へ


皇后杯2連覇・リーグ2連覇という輝かしい成績で2023-24シーズンを終えたNECレッドロケッツ。
インタビュー企画4回目は、2021年に入団、チームを奮い立たせる言葉・行動で2連覇に貢献してきた藤井莉子選手。他の選手とはまた違った道を歩みNECへ入団した藤井選手。色々な想いを抱きながら1年間副キャプテンとしてチームを引っ張ってきた彼女に迫ります。

インタビュアーはOGの廣瀬七海です。

※このインタビューは、2023-24シーズン V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN セミファイナル試合終了後に行いました。

人をまとめる力は

廣瀬:よろしくお願いします。
最初に自己紹介と自己アピールをお願いします。
 
藤井:背番号9番藤井莉子。ポジションはリベロです。
自分の武器は、周りを巻き込んでチーム盛り上げる力と声、コートの空いてるところをコールしたり、アタッカーをひと押しする声かけが出来ることが自分の強みだと思います。
 
廣瀬:さすが!リコのバレーを始めたきっかけを教えてください。
 
藤井:小学3年生の時、同じクラスの友達にバレーボール教室に誘われたのがきっかけでした。参加してみたら楽しくて、「バレーをやってみたい!」と思ったんです。同じ地域に2つのチームがあって、1つは“みんなで楽しむことを大切にしているチーム”で、もう一つは“勝ちにこだわる厳しいチーム”でした。子どもながらに、勝つことに少しでもこだわるチームでやりたい気持ちがあったみたいで、厳しい先生のいるチームに入部することにしました。
 
廣瀬:小学校3年生のリコは厳しい道を選択?(笑) 

藤井:選んでるんですよね。自分でも詳しくは覚えてないですけど。
 
廣瀬:出身は東京だよね。
 
藤井:実践学園中等学校から実践学園高等学校です。
東京には強いチームが多くて、実践学園はベスト4に入る学校ではなかったですが、ベスト8に入る学校の1つで「4強(ベスト4の学校)に勝とうぜ!」と頑張っているような学校でした。
 
廣瀬:ポジションはずっとリベロなの?
 
藤井:そうですね。小学校の時からずっと身長が低かったので、スパイクを打たない真ん中のレシーバーでした。サーブもずっとアンダーサーブで、フローターサーブを打つようになったのは中学3年生の時。サーブ練習もほとんどしていなくて、ずっとレシーバーでした。
 
廣瀬:これまでのキャリアの中でキャプテンを務めたことはある?
 
藤井:小学校から大学まで、それぞれのカテゴリーで経験しました。
 
廣瀬:昔からチームをまとめたり、引っ張っていくのは得意だったんだね。
 
藤井:そうですね。自ら立候補してるわけではないですけど、大勢で集まって話し合うような場面で黙っていられない性格なので、自然と場をまとめるような役回りをしていますね。中学生の時はすごく真面目だったので、進んで学級委員をしていました。それも、バレーボールのために、まずクラスをまとめられるようにしようという意思があったので。
 
廣瀬:すごい責任感!
 
藤井:中学生の時だけですけどね。
どちらかというと、全体を他の人がまとめて、その人を支えるようなポジションがいいなと思っていたのですが、最終的にはキャプテンをやっていました(笑)
 
廣瀬:チームを纏めるというすごい才能だよね。。
 

古谷選手との意外な接点

廣瀬:大学の時は古谷選手と2年間一緒でしたよね。


藤井:ショウさん(古谷選手)は学年が2つ上の先輩でした。
私は東京の高校、ショウさんは伊勢原高校だったんですけど、監督同士仲がいいこともあって練習試合を頻繁に行っていました。私が高校1年生の時は毎週土日に練習試合があって、その頃からショウさんは他の人と明らかに違っていて、伊勢原の大エースだったんです。高校生の頃から身体能力がとても高くて。ショウさんは、いつか一緒にバレーボールがやれたらいいなって初めて思った選手でした。そして、 実践学園のOGがいたこともあって松蔭大学の合宿にも参加していたんですけど、高校生の時の合宿で、「伊勢原のあの人がいる!」と、ショウさんが松蔭大学に進学したことを知りました。
高校3年生で進路を考えていた時に松陰大学の白井先生(松蔭大学バレー部監督)からお声掛けいただいたのですが、 「松蔭大学にはあの時バレーを一緒にやりたいと思った選手がいる」っていうのが、松陰を選んだ決定打でした。
 
廣瀬:ショウさんの存在が進学先の決め手だったんだね!!
 
藤井:はい。憧れの選手だった…んですけど(笑)いざ入学してみたら、なんかギャップがすごくて(笑) プレーは本当にかっこいいけど、抜けてらっしゃるところがあったので(笑)、憧れ”だった”選手です。
 
廣瀬:(笑)
 
藤井:今でも憧れかと言われると…(笑) でもいい意味でなので(笑)
 
廣瀬:仲が深まったってことだよね?(笑)
 
藤井:はい。この話はショウさんとネタのように話しています。ショウさんも、「(藤井選手が松蔭大学に)入る前は『尊敬してた』とか言ってたのに~」みたいな。
 
廣瀬:(笑)
 

就職するかバレーボールを続けるか

廣瀬:レッドロケッツ入団の話をお聞きします。NECに入ったきっかけも、憧れのショウさん?
 
藤井:ショウさんも理由の1つです。ショウさんがNECに入団したことで、大学リーグの上位にいない松陰でも、Vリーグトップのチームに入団できる可能性があると考えられるようになりました。
でも理由はそれだけではないです。
 
廣瀬:知りたい!
 
藤井:実は私、大学卒業後にバレーボールを続ける気がなかったんです。
大学3年生の時に就職活動をしていて、行きたい会社ややりたいことも明確でした。当時の監督には、バレーボールを続けるかどうかはまだ決めてないけど、就職活動はさせてほしいという話をしていました。正直、自分がバレーボールを続けている想像があまりつかなかったんです。でも、もしバレーを続けるのであれば、勝ちに拘るチームに入りたいという気持ちもあったので、4年生の時に大学の監督から「NECはどうかな」と話をしてもらった時は、バレーを極められるなら挑戦したいと、気持ちが揺らいで。その後4年生の夏にNECの練習に1日参加してみて、やっぱりレベルが高いなと思いましたし、こういう環境でバレーボールできるのであればやりたいという気持ちになりました。
そして最終的にNECへの入団を決断したのは、第一志望だった会社の社長面接がきっかけでした。
第一志望の会社の社長面接(最終試験)で、社長に「他に迷っている会社はありますか」と聞かれたんです。その時に、「実は今やっているバレーボールを続けるか、ここの会社に入るか少しまだ悩んでいます」ということを隠さずに伝えました。その最終面接があったのがNECの練習に参加した次の日だったこともあって、バレーボールに対する思いも熱かったんですよね。
後日面接の発表が出たのですが、なんと内定が取れなかったんです。その会社の担当の方に「バレーボールを続けたいという言葉が社長に響いたそうで、『今できることをやった方がいい』と社長が言ってましたよ」と教えてもらって。
自分の中でも、バレーボールを続けるか、この会社で働くかですごく迷っていたんですが、初めて会った方にもバレーボールを続けたいという言葉がこんなにも伝わるということは、自分の中でもっと挑戦したいっていう気持ちが溢れていたんだなと。なので「バレーボールやろう、NECに入ろう」と決断しました。多分他の選手とは違った決断の仕方かなって思います。
 
廣瀬:就職活動していたなんて知らなった!!
 
藤井:歴代の入団した選手の中でも、自分のようにがっつり就職活動をしていた人はいないと思うんです。やっぱりトップのチームに来る人たちは、それなりの経歴を持ってますし。自分は春高(全日本バレーボール高等学校選手権大会)も出ていないし、キャリアや経歴があまりなくて、それが自分に自信を持てていない要因でした。なので、バレーボールをしている子どもや学生達に、キャリアや経歴がなくてもトップのチームで頑張れるんだよ、ということを体現する任務が、自分にはあると思っています。
 
廣瀬:そうだよね。いろんな人に「NEC入ったきっかけは?」と聞いてるけど、「バレーボールをやるかやらないか迷っていた」は初めて。
 
藤井:大学入学の時も、当時自分は学校の先生になりたかったのですが、松陰の監督から声をかけてもらって。その時もどうするか悩みましたが、当時はショウさんがいらっしゃるという巡り合わせもあって、「頑張ってみるか」と。なんだかんだ、バレーボールを続けてる自分がいます。
 
廣瀬:すごいね。本当に運命って感じがする。
 
藤井:本当にそうです。タイミングや運、そしてその時の状況の何か1つでも違ったら、多分ここにはいないだろうなというのはすごく思います。
 
廣瀬:もし最終面接がNECの練習に参加する前の日とかだったらまた違っていたかも知れないよね。
 
藤井:本当に色んなものが重なり合って今ここにいて、バレーボールが出来ているんだなと感じます。
 
廣瀬:でもやっぱりバレーボールが好き!という想いがその道を切り拓いたんだと思う!
 

積み上げてきたこと

廣瀬:実際レッドロケッツに入ってみてどうでしたか?
 
藤井:1、2年目はとにかく練習についていくことに必死でした。 チームのレベルに追いつきたいという気持ちがすごくあったので、時間があればとにかく練習して、ボールに触るようにしていました。今もそうですが、このチームの中で1番ボールに触った量が多いよねって言われるぐらいひたすら練習をしようと思っていたので、1年目はもう覚えていないぐらい必死でした。それに、テレビの中で見ていた”代表のリベロ”である琴絵さんと、”ザ・NECのリベロ”の満菜美さんの、それぞれ違った強みのあるリベロの先輩たちと一緒に出来る環境が素晴らしすぎて。
2年目は必死さもありつつ、自分がチームに対してできることにフォーカスして動くことができたかなと思います。
 
廣瀬:今が3年目だから去年が2年目だよね。もっと前からいる感じがするけど。(笑)
 
藤井:よく言われます(笑)
1年1年すごく濃い時間を過ごしているので、正直1年があっという間とは全く思わないですね。 濃い1日を過ごしているので、この2シーズン(2022-23シーズン・2023-24シーズン)は「あ、やっと1年終わるんだ」という気持ちです。
 
廣瀬:満菜美さんと琴絵さんの存在はいい刺激になっていた?
 
藤井:琴絵さんは当時一番年上の先輩でしたが、そう感じさせないフレンドリーさで、積極的に色んな子に話しかけていました。私は後輩とコミュニケーションを取るのがあまり得意ではないので、後輩にすごく溶け込んでいる琴絵さんを見て、コミュニケーションの取り方がすごく上手な方だなと思っていました。
満菜美さんは、皆から”お母さん”って呼ばれるくらい聞き上手な方で。ただ相談に乗るだけじゃなくて、私はこう思うよとしっかり満菜美さんの意見を伝えたり、相手によって、この人にはこういう話をしようとか、受け答えをすごく考えてらっしゃる方だと思います。プレーはもちろんですけど、プレーじゃないところも本当に勉強になります。


廣瀬:2023シーズンは副キャプテンになったから、副キャプテンの莉子は満菜美さんと話す機会が増えたよね。
 
藤井:満菜美さんの行動や考え方を身近に聞けるので、学ぶことばかりです。チームが勝つためにどういうステップが必要か、「チームが今何をするべきか」「どうすればチームが良くなるか」について話しあう場にいられることがすごくいい経験になっています。
最初は、自分が副キャプテンでいいのかな、と正直思うこともあって、満菜美さんとライ(柳田選手)さんにも「私大丈夫ですか。出来ていますか。」って聞いていたこともあったんですけど、今は2人から得たものに自分の考えをプラスしてどう発信していくかを考えています。
それに、後輩たちも増えていく中で、今度は自分が下の子たちに伝えていく番だと思っていて。自分とは考え方の全然違う先輩から学びを得ているので、それを下の子たちに伝えていく必要があると思っています。
 
廣瀬:下の子たちへ伝えていくことは大事なことだね。

藤井:そうですね。キャプテン経験のあるライさんがいて、自分がもう1人の副キャプテンをやる意味を考えた時に、「今後このチームをもっと良くしていくために若い子の力も必要だ」っていう金子さんからのメッセージなのかなって。金子さんに言われたわけじゃないんですけど。でも、副キャプテンを任された時点で、自分の責務だと思っていました。
 
廣瀬:3年目で副キャプテンって、監督はできる人にしか頼まないよ。莉子の1年目・2年目やってきたことが、チームのためにどうしよう、どう自分が行動しようっていうのを考えながらやってきた。その成果だと思う。
 
藤井:そうだといいなって思います。
 
廣瀬:そうだよ。チーム引っ張ってるもん。 2年目とは思えないくらいの存在感。チームの意識を高めてる印象はすごいあったから。
 
藤井:ありがとうございます(嬉)
 
廣瀬:チームを引っ張っていくリーダーに適任だと思う。
 
藤井:そんなに自信があるわけじゃないですけど、覚悟を決めてやらなきゃなっていう気持ちで今シーズン臨んでいます。

リベロ2人の先輩から学んだこと。気づいた自分の強み

廣瀬:琴絵さんと満菜美さんがいる1年目の頃、莉子にとって2人はどういう存在だった?
その2人を見て、違った自分の強みが見えてきたのでは?
 
藤井:琴絵さんは、本当にレベルの違うリベロ。同じプレーはできないと思う選手でした。反射神経や運動能力の部分で、明らかに追いつけない差があると感じていたし、年齢的には私より上なんですけど、私よりずっと動けて足も速い。そこの部分で、同じ戦い方では絶対に叶わない選手だなって思いました。 
だからプレーについて学ぶこともあったんですけど、いろんな経験やキャリアの積み重ねで今のプレイスタイルが出来上がっていると感じていたので、雲の上の存在でしたね。
満菜美さんも雲の上の存在ではあるんですけど、満菜美さんには「私の若い時を見てるみたいだ」って入団の時から言われています。 「常に動いてて、動きが大きくて、あまり体力もなくすぐ息切れするところとか、本当に私の若い時を見てるようだ」ってよく言われるんです。だから、頑張ればいつかは満菜美さんみたいなリベロになれるのかなって。満菜美さんは、最初の頃から自分の“目標になるリベロ像”でした。
反応や運動神経もすごくレベルが高いんですけど、その中にある丁寧さだったり、自分が潰れてでも高さを頑張ることでセッターやアタッカーを楽にしようとする“チーム主体のスタイル”は満菜美さんのプレーでよく見られて、そこは自分にもできるところとして吸収しようと思っています。
 
廣瀬:それはすごい思う。満菜美さんと似てる。
 
藤井:周りにそう言っていただけるから、もっともっと頑張ろうと思えます。体の使い方をもっと学べば満菜美さんみたいにできることが増えると思うので。 同じポジションでライバルではあるんですけど、人としての考え方も、バレーボールプレーヤーとしても尊敬の気持ちがとても大きくて、身近で見られるのが本当にありがたい選手です。
 
廣瀬:満菜美さんも7年間積み上げてきたんだよ。 莉子はまだその途中だから。
 
藤井:はい、それも満菜美さんからよく言っていただきます。だから腐らずやるんだよっていうのを言っていただけるので、自分もすごく頑張れます。ありがたいなと思いますね。
 
廣瀬: そう声をかけてくれる先輩の存在って大きいよね。その中で今まで気づけなかった自分の強みはある?
 
藤井:やっぱり声掛けとか、みんなをプラスの方向に引き上げる力は自分の強みで、自分にしか出来ないことかな。でも、それしか見つからない…。
 
廣瀬:それこそが莉子の良いところで、チームにとってもすごく大事なこと。莉子が発する言葉は、チームみんなの力になる。去年の皇后杯の円陣でも泣きそうになったよ。
ちょっと前に紗理那さん(古賀選手)とも話したんだけど、莉子がユニフォームを着ていても着ていなくても、チームを奮い立たせる言葉が出てくるのは、普段からチームと一緒に莉子が頑張ってる証拠だよねって。誰でも出来ることじゃない。今のチームでは莉子が1番できるんじゃないかなって思うから、自信を持ってほしい。
 
藤井:円陣も挨拶も、少しでも見ている人・選手・チームメイトの士気が上がって、「やってやろう」って同じ気持ちに持っていけるかを自分なりに考えているので、そう言ってもらえてありがたいです。
 
廣瀬:もちろん円陣の言葉もだけど、ホームゲームの挨拶でもすごくいいこと言うよね。あれはどうやって考えてるの?
 
藤井:初めての挨拶は、入団1年目で、チームからコロナ感染者が沢山出た影響で全然練習ができずに負けてしまったホームゲームでした。
1年目で、しかも負け試合での挨拶でしたが、コロナで練習が出来なくて苦しかった気持ちや、こうして楽しくバレーボールが出来ていることは当たり前じゃないと感じたことを素直に話しました。ファンの方からも「莉子の挨拶良かったよ」と言っていただいて、私自身も嬉しかったんですが、それでハードルが少し上がっちゃった…(笑)
「莉子が挨拶をする時は何か言ってくれるはずだ」みたいな雰囲気を感じてしまうので、誰かの心が動くような言葉を考えています。前喋った自分を超える気持ちで、良い意味で自分のハードルを上げています。
 
廣瀬:しかも莉子が挨拶の時って負け試合多いよね?
 
藤井:そうなんですよ。負けた時こそ言葉選びって難しいと思うし、聞いてる人たちの心情も勝った時と負けた時で違うから、言葉選びは慎重にしています。
 
廣瀬:それこそ適任だと思う。

チームを引っ張る責任

廣瀬:キャプテンの経験はあるということだったけど、副キャプテンならではの大変さを感じることはある?
 
藤井:キャプテンだった時は、最終決定は自分だったので、自分がやらなきゃいけないっていう気持ちがすごく強かったです。今は満菜美さんの考えや意向がベースにあって、自分とライさんが「こうした方が良いと思います」っていうアイデアや意見を出すので、そこに少し難しさがあるかなと思います。3人いるからこそ全方位見えて、色んな部分を改善していけると思うので、他の2人とは少し違った視点を持たないとなっていうところが自分的には難しいかなと。キャプテンとは違って自分が決めればいいだけじゃないところが、今までとは違った頭の使い方だなと思いますね。
 
廣瀬:難しいね。私はついていくだけだったから(笑) あと思いっきりプレーする、みたいな。
 
藤井:そうしてくれる方が、こういう立場からすると本当にありがたいです。決まったことに対して、素直に協力してくれることが1番こちら側としては進めやすいです。
 
廣瀬:よかった!やってたことは間違いじゃなかった。 いいチームメイトだった(笑)  逆にこっちはキャプテンや副キャプテンがしっかり考えてくれるから、思いっきりプレーできる。しっかりスタッフと連携してくれるから、聞いたことを素直にできた。
 
藤井:それぞれの役割はまた違いますよね。
 
廣瀬:適材適所があるからね。
 
藤井:それは間違いない!本当にその通りです!
 
廣瀬:だから、3年目で副キャプテンって、いいポジションにいると思う。3年目の夏はどうだった?
 
藤井: 1年目みたいにただがむしゃらにやるのではなく、満菜美さんがいない夏の期間、ライさんと2人でどうしていくかを沢山話しました。スタッフともよく話しました。1、2年目はチームが勝つためにがむしゃらにやっていましたが、今シーズンはそれに加えて、副キャプテンとしてどうみんなに伝えるか、どういう感じでミーティングをするかとかを考えました。夏は結構人数が少ない時期とかもあって、体力的にもきつい中、考えることが本当にたくさんありました。
考えることが増えたことで、自分のプレーに集中できないこともありました。本当は自分のことに集中しなきゃいけないのに、副キャプテンとしてやるべきことを考えてしまって、優先順位を間違えてしまっていた時もありました。
そんな時、自分のことに集中できないことをブンさん(上野選手)に話したら、「やるべきことはやらないといけないけど、私はがむしゃらにやってる莉子が好きだよ」って言われて、その通りだなって思ったんです。自分がすごく迷ってしまっていた時、ブンさんのその言葉で自分がどうあるべきかが定まって、とても救われたんです。だからすごく感謝してます。
 
廣瀬:それもこれも全部いい経験だね。
今シーズンは、後輩に彩夏(大工園選手)が加入して、リベロ3人体制の中、莉子はなかなか出場機会がなかったね。そんな中でも副キャプテンとして、チームに発言しなきゃいけない立場だけど、葛藤はあった?
 
藤井:めっちゃありますね。
今シーズン、満菜美さんがスタメン、ライさんがリザーブメンバー、自分がリザーブ外という状況が多くて、それぞれの立場が違うからこそ見えることがあるよね、と3人で話す機会も多かった。
他の立場からだと言いづらいことも、リザーブ外の自分だから言える時があると思っていて、スタメンやリザーブがもっと頑張ろうと思えて、リザーブメンバー外の子たちも奮い立たせられる声掛けをしようと考えてます。難しいし勇気がいることだけど、自分にしかできないことだという気持ちでやっています。今はすんなり出来るようになったかなと思います。
 
廣瀬:最初から出来たわけではなかった?
 
藤井:最初は全然(できなかった)。年明け負けが続いた時(1/14JT戦、1/21東レ戦)、チームの状態があまり良くなくて、自分自身このままじゃいけないってすごく思ったんです。こうなってしまったからにはやるしかないと腹をくくって、今の自分・今の立場だからみんなに言えることがある、チームの悪い流れに流されちゃいけないと思って、そこで気持ちが強くなりました。
悪くなった時こそどうにかしようと思って行動するし、すぐに結果に繋がらなくても、そういう行動は誰かが見ていてくれているから、いずれチームが良い方に向かうためにやっています。
 
廣瀬:満菜美さんが負傷して試合に出られなくなった時(1月下旬)、莉子と彩夏(大工園選手)の顔つきが変わったなと思ったよ。
 
藤井:本当ですか。
あの時、チームの中心になっている選手が1人でも欠けるとチームの状況が一気にガラッと変わっちゃうんだ、チームの勢いが止まっちゃうんだってすごく感じて。だからこそ、彩夏と2人で出来ることを考えました。
彩夏は満菜美さんが抜けてスタメンのリベロになったから、すごく大変だったと思う。その大変さを全部は理解してあげられないけど、少しでも彩夏の負担を減らしてあげたいという気持ちで一生懸命だった。自分が試合に出られることが自分にとっては一番いいけど、チームが勝つために今必要なことを考えた時に、自分が出るより彩夏のサポートをしっかりする必要があると思いました。その上で、自分が入る時はこうしようっていう思いも持っていたので、顔つきが変わったと思ってもらえるのはこういう経験があったからかな。
彩夏にとっても自分にとっても、この1ヶ月ぐらいはとてもプラスになったと思います。
 

廣瀬:彩夏はああ見えて意外にルーキーなんだよね。
 
藤井:そうなんですよね。どしっとしてますけどね。
 
廣瀬:つかさ(中川選手)と彩夏の貫禄感!
でも、ルーキーでコート立つってなかなか大変だし、リベロとして固定されたメンバーの中に入るのは大変だったと思うけど、莉子が声かけたり、試合の時もアドバイスをして支えていたから、彩夏にとって莉子の存在は大きかったと思うよ。チームのために、今自分が何をやるべきかがわかって行動できるところは、莉子の良いところ。
 
藤井:嬉しい!ありがとうございます。
 

記憶に残るプレーヤーに

廣瀬:これからどんな選手になりたいですか。
 
藤井:自分は他の選手に比べたら経験やキャリアが浅い選手ですが、そういう選手でもVリーグトップチームの一員として戦えるということを下の世代へ体現していかなきゃいけないと思っています。そして、今までNECが作り上げてきた伝統を自分がしっかり引き継いで、下の世代にも伝えていきたい思いがあります。
藤井利子っていう名前がしっかり残るような存在になりたいです。
自分が辞めたとしても、こういう選手いたよねってファンの方や選手、引退後も若い子たちが知ってくれているような、そういう存在になれたらいいかなって。プレーだけじゃなくて、プレー以外の部分でも「こういうことしてたよね」って、名前が残るような存在になりたいです。
 
廣瀬:記憶に残るプレーヤーにね。
 
藤井:そうですね。記憶に残るプレーヤーですね。そうなるために今できることをコツコツと頑張りたいなって思います。

1番近くにいるひと

廣瀬:皇后杯の最後の円陣で思いが溢れ出ていたけど、あの時の心境を教えてほしい。

藤井:試合に出られなくてただただ悔しい気持ち、チームが勝利して嬉しい気持ち、副キャプテンとしてやらなきゃいけない苦しさがあって、自分の中で葛藤があって泣いてしまったんですが、NECの優勝が決まった時、ライさんとブンさんが自分を受け止めてくださって、その時にも「(莉子の頑張りを)見てるからね」って言ってくれて。そこで見てくれてる人がいるっていうのもわかったから、もう1回また頑張ろうって思えた皇后杯でした。
 
廣瀬:あの涙で奮い立った選手も沢山いると思うし、コートに立つ選手も、責任持って立とうと思ったと思うから。莉子の存在がチームを引き上げてくれてるよ。
 
藤井:それをもっとプレーで体現できるように頑張りたいです。
ファンの方がいてこそ、自分たちはバレーボールが出来るから、ファンの方に応援される選手になりたいのはもちろんなんですけど、自分が今いる環境で1番近くにいる人に応援される選手になりたいっていうのは、入った時からずっと思ってることなので、それも引き続き頑張りたいなって思います。
 
廣瀬:そうだね。1番身近にいる人がね、1番知ってるからね。
 
藤井:そうです。いろんな事情を知っているのは、1番近くにいる選手とスタッフ、チームの人たちだと思うので、 そういう方たちに応援してもらえる、勇気を与えられる存在になっていきたいなと思っています。
 
廣瀬:ありがとうございました!!


試合に出られない悔しさ、リーダーとしての葛藤がある中、腐らずに一生懸命バレーボールと向き合っている莉子にみんなはいつの間にか刺激を受けている。チームにとって欠かせない存在となった莉子。
副キャプテンを経験し、キャリアを重ねるにつれて悩むことも多くなると思いますが、持ち前の明るさでチームを鼓舞し、コートで躍動する背番号9番藤井莉子にこれからも期待大です!


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