RED ROCKETS HERO'S TRAJECTORY #01
FOR THE TEAM ~自分自身を超えて~【後編】
インタビュー前編はこちらから
引退を決意していた昨シーズン
廣瀬:私が引退するとき(2022年5月)に、遠征の帰りの新幹線で光綺さんが「毎年毎年、あと1年と思ってやってきたけど、本当に次で最後にしようと思う」と話されていたことを覚えています。あの時そう決断をしていた理由をお聞きしてもいいですか?
柳田:2年前のシーズン、試合に出られない期間も多くて、でもそういう立場の時に必要なことって“現状に満足せずに頑張ってみること”だと思っていました。自分がどうしたいかが一番大事だと感じていて。もう自分はチームに必要ないんじゃないかという葛藤もあったけど、もう一回、もう一年と決めてその部分を自分でやりきろうと思ってやっていましたね。そしたら、やった事がちゃんと結果に繋がる、やってきた事が身になっていると実感出来てきて。
ところがその年のVリーグ最終戦、久光にあと1セット、あと5点取れていたらファイナルラウンドに行けるという瞬間に、私はコートにいて、その1点、2点が取れなかった。でも逆に、自分はまだ勝負出来るという思いに繋がったんです。この1年(2021-22シーズン)でやめると決めていたけど、“あと1点を取るための努力“をするために、今まで経験したことをすべて出し切ってもう1年頑張ろうと決意しました。
廣瀬:その熱い思いを持ってスタートした2022-23シーズンでしたが、開幕直前に肩を痛めて、序盤は試合に出られませんでした。そこから復帰後の天皇杯・皇后杯では、ここぞという時に決めきれていたり、調子が良いように見えました。その頃を振返ってみてどうでしたか?
柳田:開幕戦は日本代表メンバーがいないことがわかっているので、夏を頑張ってきたメンバーでそこにかけていた部分はありました。その矢先、ここで私が頑張りたいというところだったのに、初めて完治しない(慢性的な)怪我をしてしまいました。なので、“どう痛みをごまかすか”というよりも、“どう使い方を変えるか”、“どう炎症を起こさないようにするか”、を考えながら日々生活していました。
「あと1年」と思って迎えたシーズンだったので、これからずっと付き合っていかなくてはならない怪我を負ってしまったことは、精神的にもダメージが大きく、その時は落ち込みました。でも、復帰のためのプランニングやリハビリのサポートを受ける中で、予定よりも回復が早く、筋力的にも再生していく段階になり、逆にこれをきっかけに自分の身体をもっとうまく使えるようになろうって思い始めました。今まで頑張りすぎていたところを、必要なところにフォーカスして頑張るようになりましたね。
それでも、自分が一番頑張らなきゃいけないタイミングでチームを抜けてしまって申し訳なく思っていたので、復帰した時は「やっと復帰できた!」という思いが爆発して、それがエネルギーになり、パフォーマンスが良くなったのかなと思います。
怪我したことがきっかけで身体のケアをより丁寧にするようになり、結果的に肩以外のところも良くなり、自身の身体と向き合う時間も増えましたね。
天皇杯・皇后杯でも、二枚替えなどのプレーを担う中で、“ここで自分が活躍する”という強い気持ちで集中出来るようになってたし、身体も今までと比べてもっと自由に使えるようになりました。
怪我から始まったシーズンだったけど、やってきたことが繋がって、勝ち切るところは勝ち切って、チームと一緒に自分の調子も盛り上げることが出来たんだと思います。
度重なる試練、やり残したこと
廣瀬:2月中旬くらいから会場で光綺さんの姿が見れなくなりました。。
柳田:ちょうど2月のホームゲーム(大田区総合体育館)の時、前日練習はみんなと出来たんですが、その帰りに頭痛がするようになって。さらに試合当日の朝、熱が出て。トレーナーに連絡して病院に行くことが決まったのですが、体調は悪くなる一方で…会場にはとても行ける状態ではなかったんです。いくつか病院を回り、ようやく髄膜炎(ずいまくえん)という病気であることがわかったのは夜で、そのまま入院となりました。
2~3週間の入院後、さらに約2週間実家で療養していたので、結局1か月弱チームから離れてしまいました。
廣瀬:試合日の朝に光綺さんが体調不良だと聞いて、さらにその後入院すると聞いて…「なんでこのタイミングなの」って思っちゃいました。
でも、光綺さんが一番つらいのもみんな分かっていたので、いない間は、光綺さんのユニフォームを持って試合後の勝利写真を撮っていました。
柳田:あれすごく嬉しかった!
廣瀬:光綺さんの思いと共に戦う気持ちはチーム全員が持っていました!試合後の写真撮影の時も、光綺さんのユニフォームを掲げている姿を見ていたら、一緒に戦ってきた軌跡はなくならないし、キズナは強いなと思いました。
ただ私は、「今年で最後」と言っていたことも知っていたので、このまま(戻って来られずに)終わってしまうのはいやだなと密かに思っていました。
柳田:後遺症が残るかもしれない重い病気なので、今元気でも、もしかしたらまた危ない状態になるかもしれないと思い、(残りのシーズンは)プレーは出来なくても他の部分でどれだけチームを盛り上げられるか、サポート出来るかにシフトチェンジするようにしました。
ちょうどその頃来期の話があり、最初は予定通り辞めるつもりだったのですが、中西GMから「今まで頑張っていたバレーが突然出来なくなったこの状況で、今シーズン本当にやり切ったと言えるの?もう一度やる方向で考えてみて」と言われたんです。
辞めると決めていて継続する方向は考えたこともなかったのですが、後がない中でみんなが頑張って戦う姿や、最後ギリギリで勝ったファイナルの試合をチームの一員として見ていた時に、チームをサポートする立場ではなく、プレーヤーとして「やっぱりここに立ちたい!」と思ったんです。それに、いろんな人に心配をかけたままでコートを去って良いのかという思いもあったので、考え直した結果、“もう一度頑張れる”となり、今シーズン(2023-24シーズン)も現役続行することにしました。
廣瀬:現役続行うれしいです!やっぱりあの優勝の瞬間を見るとコートに立ちたくなりますよね。優勝した時のブランデージトロフィーを持った瞬間どうでした?
柳田:あれはやばかった!
廣瀬:ちなみさん(古谷選手)が、最初みーさん(山内選手)のところに行って、二人で光綺さんを探して光綺さんのところにトロフィーを持って行ったところが本当に感動しました。優勝から離れていた6年間をキャプテンとして支えてきた3人の絆だと思いました。ちなみさんにとってはみーさんと光綺さんの存在は大きかったと思いますし、キャプテンをやってきた人にしかわからない思いもきっとありましたよね。この3人がチームを引っ張って獲った優勝だという感じがあるのかなと思ったらもう…(泣)
柳田:本当に嬉しかったし、このチームにずっといてよかったなと思えました。
ちなみやみーさんがキャプテンをやってきて、積み重ねて来ているんだなって、こうやって繋いでいくんだなって。そこに自分もいれてくれるんだという気持ちもあって。久々に嬉し泣きしました。
ただ、優勝ももちろん嬉しかったけど、出たかった悔しさもやっぱり同時にありました。でも、ちなみがブランデージトロフィーを持って来てくれて、みーさんがメダルを持って来てくれた時は、本当にただただ嬉しかったです。
みんなで嬉しかったし、人の温かさに触れましたね。このメンバーで優勝したことが更に嬉しい。いろんな人たちがいてくれたから、昨シーズンの優勝に繋がったと思っていますし、人の繋がりをすごく感じたし、優勝して更にこの繋がりを大切にしたいと思いました。
廣瀬:本当に嬉しい優勝でしたね。
最後のあの試合に勝てたのは、みんなの団結力、応援してくれるクルーの皆さんの思い、レッドロケッツに関わってくれているみんなのエネルギーがそこに集まったからだなと感じました。みんなの最高の笑顔を見られたのが本当に嬉しかったです。
だから今シーズンもその笑顔を見たいんです!
圧倒する試合で二連覇したい
柳田:本当にいろんなことがあって、凹んだり喜んだり、嵐のような、感情が揺さぶられるシーズンでした。
バレーが出来ない辛さ、みんなと出来ない辛さがあったけれど、みんなと勝てた喜びがあり、自分が出来ていたプレーへの嬉しさもあり、本当にいろんな事があったシーズンでした。でもそれがあったから、今ここにプレーヤーとしていると思います。休んでいる期間、チームはもちろんのこと、クルーの皆さんも本当に気にかけてくれて、試合に出ても出なくても応援して貰えている“温かさ”を実感しました。
来期は皆さんに恩返しできるように、まずは元気な姿を見せて安心させたい、そしてワクワクさせたいです。「柳田、こんなことも出来るんだ!」と新しい自分のプレーを見てもらってワクワクドキドキしてもらい、一緒に喜び合いたいです。
個人の目標としては、「とにかくケガしない、健康、元気にバレーをする!」です。
新しい自分、今までにない最高の自分を作りたいし、その姿を試合で皆さんに見てもらいたいです。
チームとしては、昨シーズンよりもさらに上を目指しているので、去年よりもさらに精度を上げて、どこのチームと当たっても圧倒する試合をしたい、そして二連覇したい!!!
廣瀬:ありがとうございました!!
初めて語られた柳田選手の胸の内。彼女が強く戦う理由がそこにはありました。
今シーズン、さらに成長した柳田選手が楽しみです。
次回のインタビューは上野香織選手です!お楽しみに!
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インタビューで語った想いを胸に、今シーズン戦う柳田選手の熱い言葉を書いてくれました。
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